みしょのねこごや

Diary - 2009年11月

もう11月ですね!!!!今日は中路と一緒に高尾山に行ってきました!!!

来週の土曜日に研究室で高尾山に遠足に行くのを引率しなければならないので,下見です!!!

なんか舗装された坂道を登っていると気分が重くなって脚がとても疲れてよろしくないですね!唯物論者どもの陰謀です!!!仏陀が再誕されているというのに……。。。

で,下りは山道的ないいかんじな道を歩いたのでとても楽しかったです!

あと,ついでに4年前まで住んでいた駅を4年ぶりにうろついたのですが,おそらく唯物論者であろう明大生たちがうじゃうじゃいました。学園祭のようです。

駅がとても綺麗になっていましたが,住宅街の方はあまり変わっておらず懐かしかったです!

Lévi-Strauss : Repose en paix

まだ生きていることが歴史的偉業であったところのLévi-Straussが,とうとう100歳で亡くなったとのことです。

僕は彼の本を読もうとしてそのあまりの長さと密度に圧倒されたことが,もう過去に何度もあるので,彼のことは真に知の巨人であると考えていました。

Twitterで誰かが言っていましたが,ようやく僕の中で,あるいは学問の中で,1つの地平(paradigm)が終わりを遂げたということなのでしょう。

科学者は乞食から脱却できるのか。

事業仕分けの季節ですね

最近何かと話題の行政刷新会議による事業仕分けですが,先週の金曜日のWorking group 3で行われた「科学技術関連予算」(文部科学省所管)が何かと話題になっているようです。特に僕のTwitterでのfollowingには科学技術関係者(学生や研究者)が多いので,色々と話が聞こえてきました。

その声は,概ね

  • 民主党は科学技術を厚遇するみたいなことを言っていたのに,こんな雑な議論だけで削減するのか
  • 科学技術予算を削減するのは国益に反する
  • 蓮舫wwwwwww

みたいな感じだったわけで,まぁ何にせよ予算を削減すると言われたら誰だってそう言うだろうなぁ,と僕は思ったわけです。

最初に本件削減に関して僕の意見を述べておくと,

  • そりゃ個人的には削減して貰いたくない[]
  • 事業仕分けは,劇場型政治をしたい民主党が,財務省主計局と協力して(或いは掌の上で)やっている「演出」に過ぎない,ということを理解しておく必要がある。
  • 今回の結論を元にこれから財務省と文科省が折衝をすることにも注意。
  • その上で,日本がもはや裕福な国ではなくなって科学技術研究者を養う余裕が無くなった(そういう国民の総意になった)のなら,それはもう仕方がない。[,]
  • あと,もうちょっと文科省側は分かりやすく簡潔に話していただきたい……。。。。

という程度です。

(ちなみに,事業仕分けの音声が,何故かニコニコ動画にうpされていますw。)


それでここから何を学べばよいのか

ただ,「蓮舫wwww」みたいなことを散々愚痴っていても,あるいは野依さんがいまさら憤慨しても何の意味もないのです。

本件でそれよりも大事なのは,少し考えればわかることだし,既にweb界隈でも散々言われてきていますが,こういう現状を招いた原因です。即ち「今さら声を上げてどうする」「研究者は今まで何をやってきたのか」ということです。

これについては,一言で言えば「研究の重要性を納税者(と政治家)にアピールする努力が足りていない」ということなわけで,

を参照していただければよいかと。

で,そうなると次は「じゃあ何をすればよいのか」ということになるわけです。


署名活動は乞食に過ぎない

削減が決まってからまだ2日しか立っていませんが,既に「署名活動のご協力のお願い」がみしょの所にも複数の関係筋から飛んできました。「科学研究費補助金の一部の執行停止に対する反対署名」ということなのですが,どうやら11月3日の段階で(これを見越して?)署名活動を始めていたようです。

でも,僕はこの活動にはあまり賛同しません。これに対する僕の意見は

  • 署名活動は乞食に過ぎない
  • 乞食ではなく,大道芸人になるべきだ。
  • 署名するならもう少し早くからやっておくべきだった。
  • それでもまぁ「やらない乞食よりやる乞食」。
  • でもなんか発起人の人が同業者(っていうかうちの研究室のOB)っぽい……のであまり批判するとびみょいwwww。

です。

まず第一に,僕は署名活動(=乞食活動)に反対するつもりはありません。やらない乞食よりやる乞食!路上で声を上げるだけで金がもらえるならそれに越したことはないのです!!!!!!実際,僕もWeb乞食というのをやっていて,これまでに305円を恵んでいただきました。きちんと贈与税を払わねばなりません。引き続き募金をお待ちしております!!!募金窓口はhttp://kanekure.ssig33.com/root/show/Mishoです。

で,なぜ署名活動が乞食なのかということを説明しましょう。そもそも,国家予算から出てきた研究費というのは,国民から集めた税金の一部なわけです。で,国民から貰えるお金の額が減らされることになったわけですが,それに対して「もっと金をくれ!」と,国民に向けて署名を呼び掛けているわけです。乞食とどこが違うのかを説明することは困難です。

しかも,この事業仕分けというのは,「国民の総意に基づいて」行われています。総意ではない,という反論があるかもしれませんが,少なくとも民主党は,先日の総選挙での大量得票を根拠としてこういった「過激な改革」を行っているわけです。「国民の総意に基づく減額」に対して「国民の一部の署名」をつきつけても多勢に無勢です。署名活動をすればよい,と思っている人々は,このことを理解していないのではないかと思います。

ではどうすればよいのか。すべきことは,「乞食ではなく大道芸人」です。

乞食ではなく大道芸人

乞食と大道芸人の違い,それは,「大道芸人は観客を楽しませている」ということです。

これまでは「研究の成果を国民に還元すれば……」みたいな考えでやってきたのかもしれませんが,それではダメだと言うことが露呈しつつあります。社会主義あるいは民主主義の萌芽期であれば「成果の還元」で良かったかもしれませんが,劇場型民主主義を「主権者が選択」した以上は,「国民を劇場の観客として取り扱う」ことが必要です。

この辺りの議論は10年ぐらい前からだいぶ盛んになっており,僕もそれが必要だと思っていたのですが,なかなか具体的な手段が思いつきませんでした。“Science Communicator”みたいな運動が盛んで,特に東京大学総合文化研究科工学部などでは色々と行われているようですし,あの数物連携宇宙研究機構でも力を入れているようですが,何となく「大衆的ではない」というか,僕が求めているのはもう少し大衆的なこと「Science communicationの土俵に乗ってくれない人に対するapproach」なのです。

それで,ちょっと2つほど面白い意見/ものがあったので,紹介しておきます。

1つめは,LHC ATLAS実験OFFICIAL BLOGに載っている,秋本祐希さんの「絵で見る物理学」です。これはヤバい。

  • 「分かりやすい,よりも,かわいい」
  • 僕がいつも説明に困っていたことを,極めて明快に説明している。

という点が最高だと感じました。秋本さんは素粒子実験で博士号を取って,医学系研究科で科学communicationを研究しているとか……。とてもあこがれていますw。

2つめは,next49さんの「大道100人発表会 ~青空の下で研究をネタにおしゃべりしよう20XX~」です。実は僕の「大道芸人」というのはここから取ったわけなのだけれど,

  • 科学communicationの土台に乗っていない人をも対象としている。
  • だから「発表者が聴衆に配慮して発表をしなければ,聴衆はすぐに帰ってしまう」が本当にcrucialになる

という点が「僕の求めていたもの」です。

いずれにしても,僕は,研究者はこれらのような方向に進むべきだと考えています。


で,僕は何をするのか。

と書いたは良いのですが……。。。。。実は,僕はまだ,研究者として生きるか,以前に,博士号を取得するか決めていないのです。。国や大学から奨学金とかの補助が得られれば取得したいですが,そうでなければ「現在の世界情勢を考えると500万円を費やして博士号を得る価値は無い」と考えています。

でもまぁ,それがどっちに転がろうとも,これには注力したいと考えています。つまり,「自分で大道芸人になる」か,「大道芸人になる人々を支援する」かのどちらかの側に立とうと考えています。


相変わらず,何が主張かよくわからない文章を長々と書いてしまいましたが,まぁこれが,僕が事業仕分けに対して考えたことです。

僕も新聞で乞食したい!

昨日の日記に追記。

今日の日経朝刊を読んでたら,慶應義塾の前塾長である安西さんが,

一部に大学過剰論もあるが,国際比較では日本の人口当たり大学生数は多くなく,進学率も高くない。社会の変化を考えれば,大学は18歳だけでなく社会人の再教育や女性の雇用支援教育に力を注ぐべきだ。大学は過剰ではない。

とか,

根本的な問題は,高等教育と就学前教育に対する日本の公財政支出が少なすぎることである。特に高等教育への国家予算は,国内総生産(GDP)比や租税負担率,人口に占める大学進学率を勘案しても,日本は主要先進国に比べて格段に少ない。

とか言ってました!

新聞を使って「金くれ」できるのは大変うらやましいです!僕も新聞で乞食したいです!