3月22日
力を用いた強者の弱者に対する侵害が生じるときには,大抵その周りに無能な傍観者が存在する。1938 年の München での会議を比較として持ち出さなくとも,2014 年の Россия による Крим への侵略を何ら解決できなかったという怠慢が,8 年経って大規模な戦争として実を結んだように思う。
小学生だったころからずーっと Internet をしているので,よくわからないつながりがたくさんある。中学だか高校だかの頃,Одеса に住んでいるという Україна 人女子(同い年ぐらいだった)と Skype chat をしていたことがあった。黒海岸の風光明媚なところで,しかも全く聞いたことがない地だったから,いつか行ってみたいと思っていた。2014 年に ישראל に引っ越したとき,ちょうど飛行機が黒海・Одеса の上空を(昼間・晴天下で)通ったので,これが黒海か,と感動したものだった。
Magyarország に引っ越した後も,Budapest から Київ への夜行列車の存在を知っていたので,じゃあ近いうちに行ってみるか,と思っていたのだが,COVID 禍が始まってしまい,そのまま戦争に至ってしまった。そういえば 2020 年の Chopin competition に行くという計画も COVID の影響で破綻してしまった。
2月22日に,台湾の大学から面接試験の招待が届いて以降,複数の締切が重なってしまってよくわからない忙しさになっていた。21 世紀というのはすばらしいもので,自宅で仕事をしながらでも Україна での戦争の様子を眺めることができる。井戸端会議をしている人々を眺め,空襲警報や車の音,爆発音などを聞きながら,自宅で面接資料や研究費応募の書類,報告書などを書いていた。
それらが先週ようやく全部片付いたので,いま Україна との国境へと向かう電車に乗っている。
と思っていたのだが,どうやらこの列車は Україна の中にまでいくらしい。とはいえ生来きっての臆病者(慎重派ともいう)なので入国は(今日の所は)しないでおく。Україна 難民の渡航の妨げになっては悪いので……。
戦争が始まる前までは,まさか Київ に攻め込むなんて,と思っていた。東部 2 州を「いつものように」併合して終わり,最悪 Київ を軽く襲撃するだけに留まるだろうと(USA からの情報が入ったあとでも)思っていた。Одеса も含めた全土的な侵攻は全く想像していなかった。実際には Київ での本気の首刈り作戦も,Одеса への行動も含んだ全面的な侵攻になっている。これには驚いた。
それでも僕が一番驚いたのは,欧米の反応の強さである。Россия がたとえ Київ を落としたとしても,どうせ「いつものように」なにもせずに力による現状変更を消極的に肯定するものだろうと考えていた。のだけれど実際には EU が(Deutschland を含めて)あまりに積極的に動いてる。米英もまた想定外の積極さを見せ,特に情報と軍事の面において Україна がここまで持ち堪えているのを可能にしている(ようである)。
ここには二つの驚きがある。一つは大国の変わり身の早さであって,そもそもこの軍事侵攻は Deutschland や日本などの無能な傍観者たちの怠慢にあったはずなのだ。その怠慢を無かったことにしようとして,ずっと Україна の味方だよ,みたいな顔をしている。
そもそも僕はあまり Deutschland およびその国民性を信頼していない。彼らのみせる理想主義・教条主義的な振る舞いは見ていて気持ちのよいものではない。今回の戦争も,彼らが「原発はダメだ」を第一原理にした結果として Россия に化石資源を依存することになり,EU が Россия に対して何も言えないという状況になり,Россия の سوريا や Україна での(特に 2014 年以降の)暴挙を許すことになってしまったのだと考えている。「カネ・カネ・カネだ」と Зеленський に言われたのも仕方がない。
そんな「貪欲」の Deutschland に対して「怠惰」の大罪を司るのが,日本国民の凡庸の象徴である安倍晋三さんだと思う。いつのまにか北方領土の四島返還を二島返還に交替させ,莫大な額の投資を約束させられ,挙げ句の果てには「君と僕は同じ未来を見ている」とまで言ってしまったのは一体何だったのだろう。よっぽどの美人をあてがわれたのか,大金を積まれたのか,一体あのとき何が起きていたのか未だによく理解できない。まあその無能がようやく明らかになったところで,そんな無能を選んだのもまた無能なので,まさに日本国および日本国民の無能さの象徴としてしばらく祭り上げておくのが言いように思う。
他にも細かいことを言えば(というか曖昧なことを言えば)最近の USA の軍事面での失敗や,中国が完全に「向こう側」に付いていることも背景にあるだろうし,そもそも 2010 年代が Trump-习-Путин-安倍-Erdoğan-נתניהו という「右派」の時代だったわけで,その蓄積が Україна で爆発したのだということなのだろうとも捉えている。
そもそも中東,中国の西,および Africa の東部ではずっと Україна のようなことが起きていて,いままでは国際社会がそれらを消極的に肯定していたのだから,今となっては,まあそういうことになるよね,と理解できる。そうなると今度は逆に,国際社会(特に EU・NATO)の反応の強さの方が不思議になってくる。火の手が「隣国」にまで迫ったことでようやく重い腰を上げたのだろうか。それとも Україна の人間が自分たちと見分けのつかない「白人」だからなのだろうか。EU なんてもうずっと中東からの難民を押しつけ合ってきたはずなのだけれど,なぜか Україна からの難民は受け入れることが当然のように扱われている。Hitler の Aryan 至上主義と同じ水準の話であり,これが教条主義のおそろしいところであると考えている。
行き着く先は,中露印 bloc と NATO bloc との対立なんだろうか。鉄の curtain は印パ・露欧・中日の間に下りるのだろうか。
Comments
Takobue 2022/04/28(Thu) 23:24:12
今やヨーロッパの方が危険区域ですね。この戦争どうやって終わらせるのかだれも真面目に取り組んでない。
Takobue 2022/04/28(Thu) 23:41:47
あとコメントにめっちゃロシア語なのか分からないけどキリル文字が書き込まれてます。