学部生の卒論発表会が始まった。講義でも,2年生が期末論文を提出してくれた。必然的に,自分が4年生の頃は,2年生の頃は,どのようであったのか,振り返ることになる。
講演のために,さらに昔の記録を見返している。多重に backup をとっているので,色々な記録が出てくる。大学1年生の頃の同級生とのやりとりが出てきた。田舎から出てきた割には,当時の僕は結構頑張っている。ちゃんと日々を生きていたようだ。っていうかトガり過ぎている。いや,それは今でもか。どう見てもヤバい種類の人間なのだけれど,東大の学生たちはみんなオトナなので,それなりに友達付き合いをしてもらっていたようだ。
2年生の期末論文を読むときに,本物の論文を査読するように読むわけにはいかない。とはいえ何の基準もなしに読むこともできない。当然,学部2年生だった頃の自分と比較することになる。すると当然,2年生の頃の自分が出てくる。酒を飲んでいた記憶しかない。いや,それだけではないはずで,好きな授業だけは一番前に座って授業を聞いていたはずだ。それでも二日酔いか寝不足かなにかで,そんなに真面目に講義を聞いていなかったのかもしれない。
当時から優秀で,academia に進んでそうだなと思った人たちの名前を検索してみると,ちゃんと名前が出てきて,それぞれの研究をしっかりやっている。(研究者は情報を出しがちなので,すぐに出てくる。)二週間にも書いたけれど,東大はこわいところです。っていうか理2・3の class だったので,理3のゲキヤバ宇宙人と,理2の生物女子がいて,そこから物理学科に行ったせいで物理のガチ勢とも知り合えたわけか。なんか割と幸運だな。
卒研発表をしている学生は,2 年前に自分が教えた学生なので,発表を聞くのが割と怖くなる。自分がやったことの答え合わせを見ている。
答え合わせといえば,当時あれだけトガっていた自分のような人間を学生の中に見つけると,輪廻転生……ではなく因果応報で,ちょっと怖くなる。それでもそういう学生は好きです。講義に来ずに試験でいい点数を取る種類の学生と,最前列に座っている学生と,授業後に質問をしにきてくれる学生と,office hour に部屋に来てくれる学生が好き。結局,active な学生が好きってだけで,当然のことを言ったまでだった。
答え合わせをするのは怖い。答え合わせで×がついた部分を,今の 2 年生に教える。2 年後に採点結果が返ってくる。得点が上がっていることを願う。4 年生に対しては色々申し訳なく思っているが,結局世の中というのはそういう,運とか巡り合わせとかいったもので動いている。塞翁の話にもあるように,できることしかできないし,なるようにしかならない。
いままさにこの日記を書きながら,当時明らかに優秀だった人の名前を検索してみた。めっちゃキラキラした instagram が出てきた。相変わらずめちゃくちゃ頑張っている。けれども当時と顔が変わっていない。ちょっと嬉しくなる。いや,とても嬉しい。
もう一人検索してみたら,当然のように東大の卓越研究員に……と思ったら見覚えのある名前がもう一人出てきて,めちゃくちゃ偉くなってる,ビビる。何だこれ。うわー。すごいことになっている……。
午前1時になってしまった。明日は電磁気学の講義で,electrodynamics なんだけど,この分野は方向の二択が多くて困る。先週は 3 コマ目に,疲れからか,不幸にも cross product の方向を間違えてしまい,学生の前で崩れ落ちてしまうという大失態をやってしまった。明日はちゃんとやらなければならない……。
目の前に,大学1年生と,2年生と,4年生と,大学院の学生がいて,それぞれの学年だった当時の自分がいて,当時の同級生がいて,いまの自分がいて,同級生がいまも遠くで輝いて光っていて,時間は一方向に流れるはずだけれど,螺旋のようにも見えてきて,solenoid coil のようにも,DNA のようにも見えてきて,頭の中がぐちゃぐちゃしている。ぐちゃぐちゃしたから日記を書き始めたのだけれど,さらにぐちゃぐちゃしてしまった。疲れているんだろう。