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Physics - 活動一覧(論文)

Last Updated: 10 May 2012 14:46:14

一覧

学位論文

2010年

2011年

2012年

卒業研究(2008) "Linear Collider —to-> Relic Density"

学部 4 年の頃に,物理学科の「特別実験」で行った研究。相原研の岩崎さん(当時)の指導の下で行った。

現在の宇宙には,「暗黒物質」というものが莫大に存在していることが分かっている。 それらは「超対称標準模型」という模型を仮定することにより説明できるが,この模型はあくまでも仮説に過ぎないので,それを検証する実験が“LHC”において現在行われている。 超対称標準模型が正しかった場合,今度は暗黒物質の性質が気になってくるが,建設が検討されている「線形加速器」を使えば,その性質(質量)をかなり精度良く測定できる。

我々の実験では,線形加速器によってどれだけ質量を精度良く測定できるかについて調べた。 これらは Feng および Peskin による研究の追試,というかまねごとみたいなものである。

報告書: http://www.misho-web.com/phys/papers/bachelor_thesis_080212.pdf

関連発表: 2008.03.30 in ハチロク世代第一回卒研発表会

修士論文(2010) "Supersymmetry without R-Parity: Its Phenomenology"

この世界は,今のところ「標準模型」という model を用いて表されている。標準模型は万有引力を説明しないため,究極理論とは見なせないが,それ以外の多くの物理現象をよく記述する。 ところが,標準模型には「階層性問題」という問題が知られており,大変おぞましい,不自然な理論となってしまっている。

そこで,これを解消するために,標準模型を「超対称性理論」によって発展させた「超対称標準模型」というものが提唱されている。

「超対称標準模型」は,単純にやるとうまくいかないので,そこに余分な対称性を加えてやらないといけない。通常は R-Parity の保存を仮定することによりこの問題を解決する。このとき超対称標準模型は,同時に,宇宙に存在する「暗黒物質」をも説明してくれるため大変よろこばしい。

ところが,この R-parity というのは,何の裏付けもなく導入されたものであり,もしかしたら保存していない(破れている)かもしれない。その意味で,「R-parityの保存を要請しない超対称理論」を考えることは重要である。

この場合,暗黒物質は「星の死骸か何かだろう」など他の方法で説明しなければならないが,一方で標準模型にはないおもしろい現象(baryon 数や lepton 数の破れ)が,“LHC”で観測されるかもしれない。

この修士論文では,これら「R-parityの保存を要請しない超対称理論」について,先の論文でやったことを中心にしてまとめた。

論文: http://www.misho-web.com/phys/papers/master_thesis.pdf

(旧版: 2010.02.08[v1]2010.03.06[v2])

関連発表: 2010.02.01 as 修論審査(東京大学)

Lepton Flavor Violation and Cosmological Constraints on R-parity Violation

標準模型においては,物質と反物質の間には何も違いが無いから,物質があれば反物質も存在するはずである。ところがこの宇宙には物質ばかりが存在し,反物質はまったく存在しない。この「物質と反物質の間の非対称性」は,大きな謎の 1 つとなっており,これを解決する仮説として,GUT baryogenesis だとか Leptogenesis だとかが提唱されている。

ところが,R-parity の非保存は baryon 数または lepton 数の非保存を意味するので,仮に R-parity が大きく破れていたとすると, Leptogenesis などで作った非対称性は洗い流されてしまう (wash-out effect) ため,Leptogenesis がダメになってしまう。このことから,R-parity の破れには強い制限がついている。

この制限は特に,lepton flavor がある程度破れている場合には顕著となり,すべての R-parity の破れが 10^{-8}以下でなければならない,という結果になる。

我々はこの制限について数値的に調べた。その結果,超対称標準模型の slepton の混合角度が\theta_{12}\gtrsim{\mathcal O}(10^{-4}),および\theta_{i3}\gtrsim{\mathcal O}(10^{-5})の場合にこのような強い制約が得られる,ということがわかり,更に R-parity を破る反応のそれぞれについて数値的な上限を得た。

著者: Motoi Endo, Koichi Hamaguchi and Sho Iwamoto

論文: JCAP 1002:032 (2010) [arXiv:0912.0585]

関連発表: 2010.02.20 in KEK-PH 2010

関連発表: 2010.10.04 in 2nd Bethe Center Workshop

Stau Kinks at the LHC

素粒子の研究者たちは,現在行われている LHC 実験で,標準模型では説明できない現象が見つかるといいなぁ,そしてそれを精査することで標準模型よりも高位の理論を議論できるといいなぁ,と思っている。具体的には,例えば,「超対称性理論」の痕跡を期待している。なぜなら超対称性理論には色々良いところがあるから。

超対称性理論がもしも本当だったとした時,どんな痕跡が見えるのか。それについてはこれまでに様々な研究があって,大体「ふつう」の場合についてはもう予想できている。我々はこの論文で,超対称性理論が「ふつうじゃない」形で実現されていた場合,LHC 実験で「とても奇妙」な痕跡が見える,ということを提唱した。しかも運が良ければ,あと数年もしないうちに見えるかもしれない。どのような痕跡かというと,粒子の飛跡が検出器の中でカクッと折れ曲がるようなもの。正確に言えば,電荷を持った粒子の飛跡が折れ曲がる (kink track)。これは荷電粒子が検出器中で崩壊して別の粒子になることが原因。

特に我々は,stau の kink track について議論した。具体的な model として,(1) R-parity が LL\bar E あるいは LH\s uで破れていて,更に stau が MSSM-LSP の場合と,(2) gravitino が LSP で,stau が NLSP の場合を考えた。(1) では \lambda\sim 10^{-7}\,\text{--}\,10^{-10}ぐらいの場合に,(2) では m_{3/2}\sim 10^{-2}\,\text{--}\,10\un{keV} の場合に,14TeV LHC で kink signatures を発見できる可能性がある。

特に強調したいのは,まず第一に,この解析は「そこそこ飛んでから崩壊するstau」の検出に非常に有効であるということ。次に,(1)の場合に kink が見える parameter 領域は,我々の先の論文で「好ましい」とされている領域であること。詳細は論文を読んでいただきたい。

著者: Shoji Asai, Yuya Azuma, Motoi Endo, Koichi Hamaguchi and Sho Iwamoto

論文: JHEP 1112 (2011) 041 (2011) [arXiv:1103.1881]

関連発表: 2011.08.20 in 原子核三者若手 夏の学校

関連発表: 2011.09.07 in School on Monte Carlo Tools for LHC

関連発表: 2012.01.16 as a seminar at Universität Bonn

関連発表: 2012.01.30 as a seminar at DESY

関連発表: 2012.02.27 in KEK-PH 2012

Higgs Mass and Muon Anomalous Magnetic Moment in Supersymmetric Models with Vector-Like Matters

2011年夏,質量 130〜140 GeV の Higgs 粒子が存在する可能性を示唆する実験結果が発表されました。

Higgs の存在自体はみんな予想していたのですが,130〜140 GeV というのは想像よりもやや重い結果です。特に,現在イチオシされている理論であるところの超対称性理論を考えると,チョット信じられないくらい重かったのです。

超対称性理論というのは,暗黒物質の正体がわかる,大統一理論が構築可能になる,\mu粒子の異常磁気能率(g-2)_\muの値が理論値と異なっているのを説明してくれる,など,素晴らしい特長を持っているのですが,Higgs が 140 GeV にあると,(g-2)_\muが説明できなくなってしまうのです。

こうなると,我々は,Higgs の質量がホントはもう少し軽い(120 GeV 程度)ことを期待するとか,(g-2)_\muの理論計算が間違っていることを期待するぐらいしかできなくなって,どちらもちょっとひねくれている。

というわけで,やや重い Higgs と,(g-2)_\muの不一致を同時に説明したい。で,試しに新しい粒子を追加してみたら,これができるようになりましたよ。という話です。

ちなみに実際には Higgs は 130〜140 GeV にはありませんでした。でも,この論文の模型は別の論文で再利用されます。

著者: Motoi Endo, Koichi Hamaguchi, Sho Iwamoto and Norimi Yokozaki

論文: Phys. Rev. D 84, 075017 (2011) [arXiv:1108.3071]

関連論文: [arXiv:1112.5653] 続編(LHC現象論)

関連論文: [arXiv:1202.2751] 続編(真空の安定性)

関連発表: 2012.02.18 in Physics opportunities with LHC at 7TeV

関連発表: 2012.02.20 in 2012年冬の富山,素粒子宇宙論研究会

関連発表: 2012.03.09 in 札幌冬の学校 2012

関連発表: 2012.03.15 in GUT2012

関連発表: 2012.04.19 as seminars at 新潟大学 and 富山大学

LHC Dijet Signals in New Physics Models for Top Forward-Backward Asymmetry

2011年9月を以て終了した Tevatron 実験Wikipedia の解説)では,top quark にまつわる奇妙な現象が観測された。陽子と反陽子をぶつけて top と反 top を作ってみたところ,top 粒子の飛んでいった方向が理論的予言と異なっていた。「前方」に飛んでいく確率が,予言よりも高かったのだ。

Top quark は既知の素粒子のなかで一番重いので,top に関する奇妙な現象は,更に重い粒子,つまり新しい理論を知るための手がかりになりうる。だから,この現象を説明するための様々な idea が提唱されてきた。

この論文では,その idea のうち,Z'模型と呼ばれている模型について,これまでに知られていなかった新しい実験的制限があることを示した。この制限は,今動いている LHC 実験Wikipedia の解説)を元にしているので,今後実験が進むにつれて精度が向上していき,より厳しい制限が得られる。Tevatron 実験が終わった今となっては,もはや LHC に頼るしか無い。その意味で,ささやかだけれども重要なものである。

実は,この論文の準備段階では,他にもいろいろな idea を考えたり,あるいは色々なことを検証した。論文になったものの 5 倍ぐらい,背後に持っているものがあるのだけれど,まぁそいつらはあまり面白くなかったので全部省いてしまった。

著者: Motoi Endo and Sho Iwamoto

論文: [arXiv:1110.0014]

関連発表: 2011.08.13 in SI2011-ph

Higgs mass, muon g-2, and LHC prospects in gauge mediation models with vector-like matters

すこし前の論文で,「やや重い Higgs」を実現できるような枠組みを考えました。ところが,実際には Higgs は「やや重い」領域には見つからなかった。 その代わり,2011年12月に,想定よりも「チョット重い」領域に Higgs の兆しがあることが発表されました。

定量的に言うと,「やや重い」130〜140 GeV ではなく,「想定ど真ん中」120 GeV でもなく,「チョット重い」125 GeV の Higgs が“あるかもしれない”ことがわかったのです。

125 GeV というのは,ギリギリのところで想定外のものでした。あとチョットなんとかしたい。そこで,すこし前の論文で使った枠組みをもう一度使って,125 GeV の Higgs を実現しました。もちろん(g-2)_\muの不一致もまとめて説明しています。

それだけだと論文として寂しいので,この模型が正しいか間違ってるのかをどうやったら(LHC 実験で)確認できるのか,という話を付け加えました。

著者: Motoi Endo, Koichi Hamaguchi, Sho Iwamoto and Norimi Yokozaki

論文: Phys. Rev. D 85, 095012 (2012) [arXiv:1112.5653]

関連論文: [arXiv:1108.3071] 元となった論文(模型の詳細)

関連論文: [arXiv:1202.2751] 続編(真空の安定性)

関連発表: 2012.02.18 in Physics opportunities with LHC at 7TeV

関連発表: 2012.02.20 in 2012年冬の富山,素粒子宇宙論研究会

関連発表: 2012.03.09 in 札幌冬の学校 2012

関連発表: 2012.03.15 in GUT2012

関連発表: 2012.04.19 as seminars at 新潟大学 and 富山大学

mass and muon anomalous magnetic moment in the U(1) extended MSSM

(g-2)_\muの不一致をうまく説明しつつ,想定よりもチョット重い 125 GeV の Higgs 粒子を実現したい。そのためには「粒子を増やせば良い」ということを1 つ前の論文で書きました。

ところで,他にも「粒子の間に働く力を増やす」という手法があります。その手法について議論した論文です。8 月に書いた論文についての説明も参考にしてください。

著者: Motoi Endo, Koichi Hamaguchi, Kazunori Nakayama, Sho Iwamoto and Norimi Yokozaki

論文: Phys. Rev. D 85, 095006 (2012) [arXiv:1112.6412]

関連発表: 2012.04.19 as seminars at 新潟大学 and 富山大学

Vacuum Stability Bound on Extended GMSB Models

僕たちが 8 月に発表して 12 月にもっと詳細な解析を行った枠組みについて,\tan\betaという値が大きすぎると我々の宇宙が崩壊してしまうことに気づきました。つまり,(宇宙は崩壊してないので)\tan\betaの値に上限を見つけたわけです。それについての論文です。

正確には「電磁気力が消えてしまう」あるいは「電磁気力が破れた真空に相転移してしまう」とか言います。中二病か SF っぽいです。

この問題は,同時期に発表された他の枠組みでも生じます。というわけで,他の人の発表した枠組みにもこの制限を適用してやりました。

著者: Motoi Endo, Koichi Hamaguchi, Sho Iwamoto and Norimi Yokozaki

論文: [arXiv:1202.2751]

関連論文: [arXiv:1108.3071] 元となった論文(模型の詳細)

関連論文: [arXiv:1112.5653] この論文のきっかけ(LHC現象論)