みしょのねこごや

Diary - 2011年9月

最近,日記に書く「べき」ことが沢山あった。

まずOPERA 実験が neutrino の速度を測ったら光速を超えていたことについて。でも書いていたら MacBookPro が瞬間終了しやがって,あの記事は無かったことになってしまった。

東日本大震災(3.11 という言い方はおぞましい)についても,最近ようやく自分の中で位置を定める (settle) ことが出来た。数万人の死と数十万人(?)の疎開をどう位置づければ良いかについて,自分なりに考えたことを(非常にradicalな結論になったけれども)これは近いうちに書こうと思っている。

それよりも日記らしい話をしよう。今日は6時頃に寝て,12時ごろに起きて,大学で論文の原稿を修正した。そのあと郵便局に健康保険証を取りにいく用事があったので,そのために21時頃に大学を出て,それを済ませたあとに近所の house にふらっと遊びに行った。そこで仕事(とある論文の査読)をした。

そういえば近所の house の web の情報がクソ古いので,僕も(日記は更新してないけど)仕事のところはちゃんと更新してるぞ。

で,何を書きたいかというと,そこで今日 shimpe1 というものすごく面白い人に会った,ということを書きたいのだ。というかそのことよりも,彼と会ったことでちょっと考えた(最近考えていた)自分のこととかについて書こうと思う。まぁ随筆だからこれから書くうちに内容が変わるかもしれない。それでいい。


shimpe1 というのは, 博報堂を辞めましたという記事で(無駄に)有名になったことで有名な彼のこと。

あの記事自体は大して面白くなかったし,3.11 Memorial もよくある若者の衝動にしか見えなかった(今でもそう思っている)ので,むしろ Internet のイナゴたちはは電博 elite が好きだなー,という考えになってしまって,彼のことは忘れていたのだけれど,今日,彼とほんのちょっと話して,「とてもやわらかなふわふわした前向きで面白い発想と思考をする人だなぁ」と感じた。まぁつまり感動したってことだ。

とは言え,ほんの数分しか(彼とは)話していないので,僕は彼のことがよくわからない。とりあえずやわらかくてふわふわしてて前向きで面白い感動する人だということがわかった程度なので彼のことは実はどうでもよい。

最近の原発事故を受けて,市場だとか選挙に似たものを創造する,という話をした。彼は「一緒に考えていきましょう」と言っていたが,僕は僕がそれを出来ないこと(しないこと)を知っていた。

僕は,例えばある公理系から出発してそこから世界を演繹すること,あるいはある体系として作り上げた理論だとか知識集合とその連関を把握して応用/適用すること,に関しては高度な能力を持っている。……もうちょっと具体的に言わないとだめか。

僕は,高度に抽象化された数学理論や物理学理論を理解して取り扱うことは非常に得意だし,生物学や法学のような膨大な知識を頭に突っ込んでそれを相互に関連づけて理解することも得意だ。Programming 言語だとか自然言語の取り扱いにも長けている。ちなみにこれらの能力を組み合わせると Internet stalking になる。

だけれど,彼のように柔軟に発想を飛ばすこと,そしてその飛ばした思考や発想を元にして何も無いところに或る機構を組み上げることは非常に苦手だ。非常に苦手だから自分でもこの説明で良いのかどうかわからないが,まぁつまりそういうことが非常に苦手だ。

具体的に言えば良いのかな。例えば原発事故に対して国としてどう対応すべきかについて,考え続けたけど全然思いつかなかった。運転再開の為の知事の許可を得るにはどうすればよいか。電力政策をどうすれば,次の選挙で勝てる程度の(ここで「過半の」でないことはまた別の要点)国民の支持を得ることが出来るのか。そういうことはここ半年わりと考えて来たつもりだけど全然思いつかなかった。知識は有るはずなので,単に苦手なのだ。これまでそういうことをやってこなかったので仕方が無い。

だから僕は国家公務員になるのをやめた。あの試験というのは,大学入試 center 試験と全く同じなので,つまり僕の得意な能力しか測定しない。要は高度な事務処理能力の測定試験。(だから僕が常勝なのは当然なのだ。)のだけれど,多分国家公務員としてこれから必要とされる能力は,そういう事務処理能力じゃなくて,彼のようなふわふわとした発想から何か仕組みを作り上げていく能力なんだろうと考えている。

来年からの院卒者向け試験は,おそらくその後者の能力を測ろうとしているのだろう。人事院があのツマラナイ試験をどうやって現代向けに改良したのか気になるので,来年のその試験は受験するつもりだ。

最近はそんなことを考えていたし,今日 shimpe1 に会ったのでちょっと整理してみた。


余談なのだが,僕は研究者としては「理論を作り上げる人」というよりは「作り上げた理論を徹底的に批判検証して壊す人」だと考えている。つまり,そういうことだ。僕の得意なことは,原理に立ち戻ってそこから考えて,理想論を構築して現実を批判すること。それくらいなら一瞬で出来る。そして,何も生まない。


備忘の為に。Χριστιανισμός と إسلام についての神の万能さの違いは何に起因するのか。


更に追記。

僕は本当に近所の house の恩恵を享受しまくっている。内田石井さん,あと@Shimpe1 という,多分普通に生きてたのではそうそう出会えない面白い人に,(1年半の間に)もう 3 人も会うことが出来た。この 3 人と,mattsunn のやることには,注目していきたいと思っている。

本当にありがたい話だ。近所の house が近所でよかった。