みしょのねこごや

Diary - 2011年5月

東海地震は 30 年以内に 87% の確率で起こるらしい。

に,いつものように残念な頭脳を持った人々が噛み付いているようです。もしも彼らのように頭脳が残念だったのならば,竹中氏の発言は間違っている!!!と叫んで終わりなのでしょうが,残念ながら僕はそうではなかったので,ちょっと調べてみました。

ちなみにid:LibrePDMさんのところにもわかりやすい解説があったり色々議論してたりするので,そっちも参考にしてください。

さて。id:LibrePDMさんのところにも述べられているとおり,東海地震の発生確率は BPT という model で記述されているらしいです。確率分布関数は \(f(t;\mu,\alpha)=\sqrt{\frac{\mu}{2\pi\alpha^2 t^3}}\exp\left[-\frac{(t-\mu)^2}{2a^2\mu t}\right]\) であり,ここで \(\mu\) は発生周期(というか分布の平均値), \(\alpha\) は周期のばらつきを表す parameter らしいです。

国土技術政策総合研究所の2003年の研究報告によると,東海地震について \(\mu=118.8,\quad\alpha=0.24\) だそうなので,それを用いて計算してみましょう。前回の地震が起きたのは 1854 年だったので,今後 30 年間に起きる確率は \(T=2011-1854\) として \(\frac{\int_T^{T+30}f(t;\mu,\alpha)\dd t}{\int_T^\infty f(t;\mu,\alpha)\dd t}\) で与えられます。実際に計算した結果,30 年以内・1 年以内・1 ヶ月以内に起こる確率は,それぞれ 78.8%, 4.66%, 0.396% でした。

87% にならなかったので,きっと \(\alpha\) の値として別のものを使ってるのでしょう。この parameter は精度よく決定するのが難しいらしいので,最近の研究で変わったのでしょうか。試みに \(\alpha=0.20\) で計算すると,結果はそれぞれ 87.5%, 6.10%, 0.522% になりました。

結局,東海地震が 30 年以内に 87% の確率で起こる,という発表を信じると,1 ヶ月以内では 0.5% ぐらいの確率で起こるということがわかりました。


余談

天災や事故などの生起確率は指数分布で近似できる,ということと,指数分布が「記憶しない」確率分布である,ということは,確率分布の割と基本的な知識なので,忘れてた人は復習しておきましょう。頭脳が残念な人は,この程度のことも知らずに確率分布を議論しようとするので人が死んでしまう。大変おぞましいので速やかに廃絶されねばならない。