学振の特別研究員にかかる税金などについて自分用まとめ(2013 年度 PD 編)
来年の 4 月から,東京大学の Kavli 数物連携宇宙研究機構で,学振の特別研究員 (PD) として勤務することになりました。
というわけで税の話をしましょう。ちなみに DC1 については 2 年前にまとめてますのでそちらをご覧下さい。ただし税法などの改正があるので注意が必要です。
特別研究員の給料は 2012 年度の実績では毎月 362,000 円ですので,年間の給与収入は 434.4 万円。また,配偶者や子供などの扶養親族は居ないと仮定しています。以下,全て単位を万円として単位の表記を省略します。
所得税(国税)
税金については所得税法と国税庁のタックスアンサーを参考にするとよい。
まずは給与収入 \(x\) から給与所得控除額 \(\Delta\) を減じて給与所得 \(y_0\) を計算する。 \(360職務に関係する通勤費・転居費・図書費で,給与の支払者が証明したものの総額 \(\alpha\) について,( \(x<1500\) の場合は) \(\Delta_{\rm eff}=\mathop{\mathrm{max}}(\alpha+\Delta/2,\Delta)\) となる。
今回, \(\Delta=140.88\) (税法別表第五参照)なので, \(y_0=293.52-\mathop{\mathrm{max}}(0,\alpha-70.44)\) である。
この \(y_0\) にその他の収入(株式や外貨預金に関する収入など)を加え,そこから控除を引いていき,課税される所得金額 \(y\) を得る。ちなみに総所得金額と合計所得金額は微妙に違うけど,基本的に合計所得金額の方が,額が大きい。
まず基礎控除 38 万円,それから社会保険料控除 \(p\) 。今回は計算に入れないが,他にも生命保険料控除,雑損控除,医療費控除,配偶者控除,扶養控除など色々あるので調べておくと良い。
課税される所得金額 \(y\) が分かれば,所得税の税額もわかる。 \(195
例えば, \(y=293.52-38\) とすると,所得税額は 15.8 万円である。
住民税(地方税:東京23区の場合)
地方税は住んでいる地域によって違うので,それぞれの住む地方自治体のweb pageなどで調べなければならない。東京都23区に住んでいる場合には東京都主税局のQ&Aに書いてる。ここでは23区に住んでいるとして計算する。
住民税は所得割・均等割・利子割・配当割・株式等譲渡所得割があるが,最後の3つは(株・外貨取引をしていなければ)あまり意識する必要は無い。
課税される所得金額 \(y'\) を計算する。所得額は国税と大体同じようだけれども,基礎控除が33万円となっている。社保控除はここでも有効である。それを用いて,均等割と所得割を合わせた税額は \(T'=0.4+0.1y'\) と計算される。
ただし,更に調整控除というのがあるらしく,税額から 2500円が減ぜられるらしい。つまり \(T'=0.15+0.1y'\) となるようだ(よくわかってない)。
具体例として給与収入 434.4 万円のみであり,また基礎控除以外は何も考えないとすると, \(y'=293.52-33=260.52\) であり, \(T'=26.2\) である。
住民税(地方税:千葉県柏市・松戸市・流山市の場合)
もしかしたら千葉県柏市・松戸市・流山市に住むかも知れないので,税額を調べてみたが,全く同じだった。
国民健康保険
特別研究員は日本学術振興会との雇用関係にはないため,国民健康保険に(引き続き)加入しなければならない。国民健康保険の保険料は自治体によって大きく異なる。なお,年度の途中から加入する場合は月割りで計算すること,健康保険に中断がある場合には時効の許す2年間の保険料は遡及することについて注意しておく。
国民健康保険の保険料 \(S\) は,以下のようになっているようだった。ただし全て 2012 年度の値。また, \(y''\) は \(y'\) とほぼ同じであるが,所得控除としては基礎控除33万円のみが適用され,それ以外の控除を適用せずに計算したものである。また賦課限度額は考慮していない。
荒川区・足立区 | \(S=0.0851y''+4.02\) |
柏市 | \(S=0.082y''+4.9\) |
松戸市 | \(S=0.0976y''+4.35\) |
松戸市 | \(S=0.091y''+3.9\) |
具体例として給与収入 434.4 万円のみであったとすると, \(S\) は順に29.4,29.4,33.5,31.1となる。
国民年金
最後に国民年金を忘れてはならない。……が,支払う気が全く無いので興味が無い。いちおう日本年金機構によると,なんか17万6千円ぐらいらしい。
結論/今後のsimulation
以上を元に,いくつか simulation をしてみよう。以下,簡単のため,所得控除としては基礎控除と社会保険料控除のみを考え,特定支出控除は考えず,また税額・保険料額などは東京都荒川区の 2012 年度のものを用いる。単位は「万円」であり,千円以下は切り捨て。
結局,学振 PD の手取り年収は 355 万円ということを結論としたい。
学振 DC から PD になった場合・年金支払いあり
| 前年収入 | 所得税 | 住民税 | 国保 | 年金 | 合計 | 前年実質収入 |
2014年 | 386 | 8 | 19 | 22 | 17 | 68 | 317 |
2015年 | 434 | 11 | 22 | 26 | 17 | 77 | 356 |
2016年 | 434 | 11 | 21 | 26 | 17 | 77 | 357 |
無給から PD になった場合・年金支払いあり
| 前年収入 | 所得税 | 住民税 | 国保 | 年金 | 合計 | 前年実質収入 |
2014年 | 325 | 3 | 14 | 18 | 17 | 54 | 271 |
2015年 | 434 | 12 | 22 | 26 | 17 | 78 | 355 |
2016年 | 434 | 11 | 21 | 26 | 17 | 77 | 357 |
学振 DC から PD になった場合・年金支払いなし
| 前年収入 | 所得税 | 住民税 | 国保 | 年金 | 合計 | 前年実質収入 |
2014年 | 386 | 8 | 19 | 22 | 0 | 50 | 335 |
2015年 | 434 | 13 | 23 | 26 | 0 | 63 | 370 |
2016年 | 434 | 13 | 23 | 26 | 0 | 62 | 371 |