みしょのねこごや

Diary - 2012年03月

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03月18日

日本人の英語が下手な理由

本気じゃない,根気がない,勇気がない。


地震の 7 ヶ月後,津波について自分の考えがまとまった原発事故についてはその 2 ヶ月後だった。

最近,ようやく原発被害についての考えがまとまろうとしている。

花曇りの京都にて。

03月29日

原発からの被曝をどう考えるか

原発が爆発してからもう 1 年が過ぎましたが,みなさんいかがお過ごしでしょうか。直ちには健康に影響は出ないらしいので,そろそろ健康に影響が出てくる頃だと思います。まだみなさん生きてますか?みしょはなんとか生きてます。

1 年が経って,ようやくみしょの中で原発被害をどう考えれば良いかまとまったので,書き残しておきます。津波被害原発事故についてのそれぞれの感想も参考にしてください。

ものをこわがらな過ぎたり,こわがり過ぎたりするのはやさしいが,正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた。

これは (みしょの先輩である) 寺田寅彦の有名な言葉で,小爆発二件の中に収められています。原発被害についての反応,対応,意見を見てみると,この言葉を誤解している人が多いようです。ここで,この言葉の正しい解釈をちゃんと示しておきたいと思って,この文章を書くことにしました。


「正当に恐れる」上での最も重要なことは,放射線の量が問題であり,それは測定器で測れるということです。これは20世紀の科学の偉大なる業績です。この意味は意外とわかりにくいので,ここから出てくる帰結を箇条書きしましょう。

  • 健康被害の程度は,浴びた放射線の種類と量で決まる。
  • 原発で何が起きたかはどうでもいい。原発が爆発しようと,meltdown (melt-through) が起きようと,関係ない。
  • 事故は隠蔽できたとしても,放射線は隠せない。測定線量は絶対に正しい。

つまり,たとえば個人用線量計を使って自分の被曝量を測った結果は「真実」であり,御用学者も陰謀論も正常性 bias も介在しません。あとはこの真実を,以下に挙げる「科学的な知見」を用いて評価すればよいだけです。

  • 200 mSv が医学の検査でわかる最も少ない放射線の量と言われています。
  • 症状が出るのは,1000 mSv からです。
  • もっと低い放射線量では,症状もなく,検査でも分かりませんが,発がんのリスクは若干上がります。ただし,およそ 100 mSv の蓄積以上でなければ発がんのリスクも上がりません。
  • 1 uSv/h という線量率では,傷つけられた DNA はほとんど回復するため,医学的にほぼ影響がありません。
  • 日本の自然放射線量は,高いところで 1.44 mSv/年 以上 (0.164 uSv/h 以上)
  • 放射線障害防止法では,ALARA に基づき,一般人の線量限度を 1mSv/年 としている。
  • 一般人の被曝限度は,年間 1mSv,実際には 1 mSv + 自然被曝 日本平均 1.5 mSv + 医療被曝 日本人平均 2.3 mSv;合計 約 5 mSv (年)
  • 広島・長崎のデータでは,100 mSv 以上の被ばくで,発がん率が上昇
  • 100 mSv 以下で,発がんが増えるかは,?
  • 100 mSv 以下の被爆では,生活習慣の差の方が発がんリスクに効いてくるため,誤差に埋没
  • しきい線量の上側 95% 信頼限界: 60mSv

おだきんさん@sivad さんからの情報を併せて,以下の事実を追加します。

  • とくに、100mSv以上の長期被ばくに対していくつかの種類のがんリスクの増加を示す適切な証拠が見られ、50mSv以上の長期被ばくにおいてもがんリスクの上昇の妥当な証拠が見られた。
  • 私たちの現在の既知の知識を所与とすれば、もっとも妥当な仮説は、x線ないしγ線の低線量被ばくによるがんリスクが被ばく量の減少と線形に減少する(比例する)というものである。

これが科学的な真実です。これらの情報を正当に評価しましょう。「100 mSv 以下は安全」というのは,よくある間違いです。正しい解釈は,「1000 mSv は危険な値である。100 mSv 以下なら多分安全だろう。100 mSv 以上 1000 mSv 以下のことはよくわかっていない。50 mSv 以下の risk はまぁ気にしなくてよさそうだ。50 mSv から 1000 mSv の話はよくわかっていない。」というものです。大事なのは,よくわかってない,という点。低線量被曝はよくわかっていないのです。科学に絶対を求めてはいけないし,白黒ハッキリを期待するのは科学的思考能力の欠如そのものです。科学は曖昧だ,ということを十分に認識しておかねばなりません。


さて,この知見を実際に応用してみましょう。

まず,絶対にヤバい値は 1000 mSv です。余命 10 年の老人にとっては,11.4 uSv/h,新生児にとっては 1.4 uSv/h に対応します。ただし放射線は減衰するので,これは危険を過大に評価した値です。

次に,安全な値を調べましょう。日本で一番自然放射線が高いのは岐阜県ですが,岐阜県民にガンが多いという資料はないので,空間線量 0.164 uSv/h はだいたい安全だとわかります。人生 80 年,だいたい 100 mSv です。

以上をふまえて「2 uSv/h は避けたい」「0.4 uSv/h ならばまぁ許そう」というのがみしょの解釈です。さらに「1 uSv/h では医学的に影響が無い」という主張と,あとは放射能の減衰を考えると,「事故直後の最も線量の多い段階で 1 uSv/h までならまぁ大丈夫だろう,2 uSv/h だとチョットやばいかも?」となりました。しかし,現実問題としてこれでは不十分で,さらに次の 2 点が重要です。

  • 震災と被曝恐怖による stress からの,精神への影響。
  • 避難すべき事態となったときに実際に避難出来るか。

言い換えれば,怖ければ速やかに逃げろノロマはさっさと逃げろ,それからバカが気づく前に逃げろの 3 点です。特に精神への影響というのは重要で,危険だと信じている人にとってはそれは科学的に見て危険なのです。原発やばい!!と思っている人にいくら「安全ですよ」と言っても信じるわけないし,思い込みによって体調が悪化するので,そんな人には早く避難することを勧めましょう。また,ここまでで述べた「科学的な思考」を展開できない人も早く逃げるべきです。誰かが「逃げろ」と言った段階では,もう東海道新幹線は大混雑なので逃げられません。ノロマは逃げた方が安全です。最後に,科学的に「ヤバい!!」という結論に達した段階で逃げるのも,やはり手遅れです。「チョットまずいかな???」の段階で逃げないと逃げ遅れます。

みしょは,3 月 18 日の早朝に東京駅に行って,混雑状況を調べました。チョット混雑していたけど,まぁ帰省の時よりはマシでした。この程度なら僕は逃げられるなぁ,と思って,安心した記憶があります。以上を総合した結果の結論が,次です。

東京の空間線量が 1 uSv/h を超え始めたとしたらもう原発は相当ヤバいことになってる。1 uSv/h はもちろん安全な値だけれど,0.1 (自然線量) から 1 になったのなら容易に 3 とか 10 とかになるだろう。3 とかになったらみんな避難し始めるだろうから,そうなる前に逃げよう。1 uSv/h ではまだそんなに多くの人が避難しないだろうから,早朝であれば余裕で東海道新幹線に乗れる。神戸の妹にも連絡したから東海道新幹線に乗れれば勝ち。もちろん九州の実家までの避難も容易。1 uSv/h で逃げれば絶対安全だろう。


ところで,郡山駅東口の線量は 2012 年 3 月 29 日 19 時 20 分現在 1.1 uSv となっています(参考画像)。これをどう考えるべきでしょうか。「0.4 uSv/h 以上の健康被害についてはよくわかっていないので,それを超えているからには避難すべきである」というのがみしょの結論です。特に,妊婦や新生児なんかは絶対に避難すべきでしょう。

もちろん,誰もそんなことは言いません。国も科学者も,避難しろ,とは言いません。それは「危険である」という証拠が無いからです。危険であるという証拠が無い限りだれも避難を呼びかけませんが,それは安全であるというわけではないのです。論理的に考えれば当たり前のことですが,なかなか気づかない人は多い。

実際,「安全だとは言えないから避難したほうが良いですよ」なんておおっぴらに言っちゃって,本当に避難されると困るのです。そんな呼びかけをするとどうなるでしょうか。ちょっと思考実験してみましょう。

まず,老人は絶対に逃げません。老人はとにかく変化を嫌う生き物ですし,どうせすぐ死ぬので被曝の影響も小さい。これを美化すると「故郷への愛着」だとか「住み慣れた地に骨を埋めたい」となります。次に,若者はどんどん逃げます。結婚や出産を検討している人たちや小さい子供がいる家族にとって,放射線は極めて深刻な問題なのでどんどん逃げます。子供の居る家族もおそらく逃げるでしょう。以上の結果,福島から労働力は流出し,中年と老人であふれることになります。それでは経済が回りませんし,医療の問題も出ます。誰が老人を介護するのでしょう。いわゆる老老介護の状況になります。

もしかしたら福島県で生まれた子供に健康被害が出るかもしれません。低線量被曝の危険性が実証されるかもしれません。それはそれで,良い sample です。科学の発展と文明の進歩の為には犠牲がつきもの。Marie Curie も被曝して死んだわけですし,福島の人たちが健康被害に苦しむことで,未来の人類が助かることにつながります。

ここまで読む人なんてそう多くないだろうから,こっそり僕の意見も言っちゃいましょう。ぶっちゃけ,僕は東京にいるので安全です。今では空間線量も落ち着いちゃったし。内部被曝はよくわからないけど,僕の場合は内部被曝を気にするくらいならその前に生活習慣を見直すべきなので,たいして深刻視してません。福島の人たちは気の毒ですね。まぁ,福島県の経済のためにも,あるいは科学の発展のためにも,福島県の人たちには避難せずそのまま暮らしてもらいましょう。数十年後に水俣病や花粉症のように健康被害が報告される可能性は十分に考えられるけれど,危険であるという data は無いので大丈夫です。国や科学者の責任は問われません。ましてや僕には全く責任は無いです。安全な立場から福島の人たちの行く末を暖かく見守って行きたいと考えています。原発?原発は大事ですよ。電力の安定な供給。資源の少ない日本にとって重要な発電方式だし,原発輸出により産業界も潤います。もし住んでいる側に原発があって事故が起こっても,避難すればいいだけだし。正しく避難判断が出来る,というのは大事ですね。科学やっててよかった。福島の人たちは気の毒ですが,科学の発展の為に犠牲になってください。

Comments

Commented by yamakan  at  2012/03/30(Fri) 22:19:11

http://www.rea.or.jp/wakaruhon/honbun/No05honbun.pdf

200mSv以下ではリスク情報がないだろうと思ったら、いつの間にか追記されてたw

それはさておき、お願い。

“1 uSv/h という線量率では,傷つけられた DNA はほとんど回復するため,医学的にほぼ影響がありません”

について、地元で一番必要とされてる情報なんで、ソース等を教えてもらえると助かる(^^;

実務上、0.4以下に下げるのが難しいので。

Commented by みしょ  at  2012/04/03(Tue) 02:55:25

それ、非常に critical and sensitive な問題なので、ちゃんと書けそうだったらまた後日かきます。。。。